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教えて!開業・経営
開業までの準備は
良いコンサルタントを選ぶ
開業資金はどのくらい?
開業資金の借入
収支計画書の作成
設計・建築のポイント
職員採用のポイントは?
就業規則は必要?
職員の接遇の指導
院長夫人の役割
顧問税理士は必要か?
数字の読み方
医療法人化の検討①
医療法人化の検討②
患者分析と増患対策
医療機器の買取りとリース
クレーム対応


開業までの準備は
開業予定時期から逆算してスケジュールをたてポイントを抑えましょう!
開業を考える先生がまず行わなければならないことは、いつ開業するかを決めることです。
いろいろな諸状況によって予定が狂うこともありますが、開業時期が決まらない限り具体的な準備に取りかかることができません。
まずしっかりと時期を決めることです。
開業予定時期から逆算したスケジュールは次のようになります。
①12ヶ月以前 自己資金の確保、セミナー参加、既開業医訪問。
②7〜12ヶ月 テナント探し、物件視察、資金計画、資金調達。
③6~7ヶ月 テナント契約。
④5~6ヶ月 建築業者、内装業者選定。
⑤4~5ヶ月 診療所の平面図プラン検討。
⑥3~4ヶ月 工事金額決定・契約、医療機器検討、職員採用計画。
⑦2~3ヶ月 工事着手、職員募集、広告戦略、医療機器決定。
⑧1~2ヶ月 工事完成、医療機器納入、印刷、職員採用、リース検討。
⑨直前~1ヶ月 開設届と保健医療機関申請、職員研修、見学会、備品納入。
医師会への挨拶、入会申し込みの時期は、地域によって違いがありますので事前によく調べ、タイミングをみて行うことが大切です。
テナントビル探しは、開業の1年から半年前くらいからはじめます。なお、新築、中古によって異なります。

良いコンサルタントを選ぶ
コンサルタントにも得意とする分野があります。大きく分類してみると①不動産・建設系、②医療機器・薬品系、③会計・税務系、④実践・現場系、⑤執筆・講演・企画系、⑥人材・労務系、⑦総合系、に分けられます。全部でなく部分的に依頼することも考慮し、先生がそれぞれのコンサルタントに何を求めるかによって決まるのではないでしょうか。
開業という一大事業の道案内をお願いすることになりますから、“人柄と能力”を最後のポイントとして選ばれることをお勧めします。

開業資金はどのぐらい?
内科クリニックのテナントの例(概算)です。
(所要資金)  
●テナント関係費 500万円
●内装工事費 1500万円
●医療機器代 1500万円
●什器備品・薬品代・印刷費 500万円
●医師会費、広告・開業費 500万円
●開業後の運転資金 1500万円
     合   計 6000万円
開業資金シミュレーション
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開業資金の借入
銀行に相談に行く場合は、事業計画書や収支計画書を用意するほかに、次のようなことをきっちりと説明できるようにしておきましょう。
①なぜ開業するのか・・・
 大きなリスクを負って開業するからには、それなりの理由、めざすもの、目標を明確にし、そのための準備をしてきたことを伝えましょう。これがあいまいですと事業者としての準備不足ととらえられてしまいます。
②方針が明確で立地に合っているか・・・
 なんとなくではなく、明確な方針と、その方針にあった立地であるかを説明できるようにしておきましょう。
③地域連携が図れるか・・・
 他のクリニック、病院、老人保健施設、福祉施設、行政などとの連携が重要です。積極的な連携に対する努力の姿勢を示しましょう。
④患者見込みは適正か・・・
 自身に都合の良い患者見込みではなく、人口や受療率、競合医療機関の分析から客観的な患者見込みを算出し説明しましょう。

収支計画書の作成
収支計画書は銀行融資には「絶対」必要な書類です。また、開業後のより安定した診療所経営を行うための数字的なベースと目標をつくるという気持ちで取り組んでほしいと思います。コンサルタントがつくった計画書を眺めるのではなく、自らあれこれ修正を加えながらつくりあげるところに大いなる意義があります。借金は返済できるのか、職員の採用人員と予定人件費は適切か、採算がとれる患者数は1日何人ぐらいか、など収支計画のひとつひとつの項目をとりあげていきます。
以下、具体的な作成方法です。
①当初の3年間は月別に収支予想を行いましょう。開業後3年間は収支の面で不安定な時期であり、月別の収支予測を詳しく行うことによって収支の差異の変化を把握し、資金の備えを十分に行っておくことが必要です。
②月別の収支予測を行うにあたっては、まず標榜科目特有の季節要因を加味した患者数を設定します。
③診療日、休診日を決め、開業月から月々の実際の診療日を数えます。(半日診療の場合は0.5日)
④外来患者1人1診療当たりの収入を把握しましょう。患者1診療当たりの収入単価×1日当たりの患者数×診療稼働日数=各月の収入合計になります。
⑤支出項目としては、人件費、医薬品費、医療材料費、外注検査費、地代・家賃、広告費、交際費、保守・清掃費、リース料、支払利息、公租公課、その他諸経費、また経費にはならない借入金元金返済や生活費があります。
⑥収入から支出を引いたものが当月収支となりますが、開業当初はどうしてもマイナスがしばらく続くことがあります。この収支の累積マイナスがピークになる金額が、用意しなければならない最低限の運転資金となります。
⑦開業以来3年間このように月々の収支予測を行うことによって、採算ラインの収入はどのくらいで、しかもそのためには1日何人の来患数が必要なのか、またその時期はいつ頃になるのか、などを把握することができるのです。

設計・建築のポイント
業者選びのポイントは“安心・信頼・期待”です。まずは安心できる会社であり担当者であることが絶対条件です。仕事への取り組み姿勢や考え方において共感できるか、また仕事の実績、センス、ノウハウを、会社と担当者の両方が十分備えているかということが重要です。話やパンフレットだけで判断するのではなく、実際に設計や建築した建物を必ずみせてもらうことが大事です。
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職員採用のポイントは?
職員採用は開業における重要課題のひとつです。基本的な採用姿勢をきちんともち、綿密な採用計画のもと募集広告から応募受付、面接に至るまでを手際よく行い、必要と思う人材を正しく見極め、採用決定することが重要です。
採用姿勢とは、①必要な能力と性格、②採用の評価ポイントと採否の決断ポイント、③経営者としての心構えのことです。採用面接に、社会保険労務士に立ち会ってもらうなど客観的な判断をし、勇気と誠意をもって行うようにしましょう。

就業規則は必要?
法律上は10人以上の職員がいなければ就業規則を作成する義務はないのですが、職員の安定就業とクリニックの発展のためには、しっかりとした規則をつくっておいたほうがよいでしょう。
記載事項としては、①勤務時間、②休日、③年次有給休暇、④特別休暇、⑤賃金、⑥賞与、⑦退職金、⑧慶弔見舞金、⑨服務規律、⑩表彰、⑪懲戒、⑫その他などがあります。
社会保険労務士などの専門家と相談するとより安心です。

職員の接遇の指導
医療に携わる方々にこそ出来得る使命があります。心のこもったおもてなしで患者さんを笑顔にし、安心感を与える必要があります。接遇教育には、外部講師に依頼する方法があります。全員参加を義務づけましょう。また、患者アンケートを実施し、より多くの患者さんの本音をくみとるようにしましょう。自院が接遇改革をやっていることを知ってもらい、より厳しく叱咤激励してもらえるようにしましょう。
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院長夫人の役割
開業の実現に向け、最良のパートナーとして院長を強力にサポートしてください。開業準備に当たっては、奥様の理解と協力は不可欠であると言っても過言ではありません。まず、開業準備期間中の奥様の具体的な役割については
1)開業場所の選定、資金調達、職員採用、建物の設計などについて、院長の最高かつ最良の相談相手となってください。
2)医療事務について勉強してください。開業前に他のクリニックで勤務経験を積んでおければなお結構です。
3)準備期間中のお金の出入りを記帳しておくようにしてください。
4)就業規則・労働基準法、社会保険や労働保険について勉強しましょう。
そして開業後は基本的に裏方の仕事です。無理をせず、確実にやれることからチャレンジしましょう。奥様は第二の院長ではありませんが、
①職員が休んでも院長夫人がきちんとカバーしてくれる、②何かトラブルやミスが起こっても責任は院長夫人がとってくれる、③院長に直接言いにくいことも院長夫人に言えば話が通る、など裏方で院長をサポートしてください。これからの診療所は必ず“奥様の力”が必要となってきます。

顧問税理士は必要か?
勤務医時代は、給料の税金は源泉徴収されますが、開業してから毎年のように頭を悩ませるのが税金問題です。税金はもちろんのこと、診療所の経営を継続的にかつ安定的に行っていくためには、顧問税理士による業績の数値管理や経営指導が必要です。会計事務所(顧問税理士)を選ぶいくつかのポイントをお話しします。
①医療機関の顧問先が多い。
②毎月最新かつわかりやすい経営データ(試算表)を提供してくれる。
③税理士本人が直接来てくれる。
④顧問料が具体的かつ明瞭である。
⑤人生観、仕事観、価値観など共通点があり、相性が良い。
⑥平日の夜、土、日などの営業時間外であっても電話連絡がとれる。
⑦専門用語を使わず、わかりやすい言葉で話してくれる。
⑧時には厳しく指導してくれる。

数字の読み方
キャッシュフローの把握・管理が重要です。たとえば、月別および曜日別の1日平均患者数と収入の推移、ボーナスや税金の支払い月の経費総額、医薬品の実際支払額と適正額、実際の人件費と適正額、月額のリース料、採算ライン・生活ラインの患者数と収入の数字がいつも頭に入っているということが大事です。つまり、お金の出入りと患者数が把握しておくべき数字のポイントとなります。
顧問税理士には、わかりやすい試算表を作成してもらい、生活費や経費にならない支出などすべてのお金の流れをまとめた“キャッシュフローのバランスシート”をつくってもらいましょう。事業の財布と個人の財布は別ですが、出所は一緒ですので、全体の収支バランスがとれているかどうかが大切です。
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医療法人化の検討①
ポイントは以下の通りです。
①どのぐらいの節税になるのか。(あくまでも一例です)
節税に関しては、例えば申告所得4000万円だとすると、個人の場合、所得税、住民税あわせて約1600万円、法人の場合(理事長の給与を2000万円、法人所得を2000万円として)、法人税、所得税、住民税あわせて約1100万円となり、法人化により500万円の節税となります。
※具体的数値は顧問税理士にご相談ください。
②逆にどんな出費が増えるのか。
法人化されれば、職員の厚生年金、健康保険料の法人負担分(常勤職員の年収合計を2000万円とした場合)年間約220万円が発生します。また土地、建物を出資により法人の資産とした場合、法人は不動産取得税、個人は譲渡税の負担があります。法人化の業務手数料(顧問税理士に対する)約100万円の出費があります。
③土地・建物は法人所有にするのか。
土地、建物は法人所有にすべきか、ということですが、都道府県によっては、建物ぐらいは法人の所有であったほうが望ましいとするところもありますので、関係部署と事前に十分協議してください。
④出資金(現金)はどのぐらい用意すればよいか。
出資金は経費の2~3ヶ月分相当を用意されるとよいでしょう。
⑤法人の名称に規制はあるのか。
⑥社員、理事はどんな人にすべきか。
⑦法人設立時の諸手続きは大変か。

法人化は、個人の申告所得が増えたからといってあわてて着手するのではなく、2~3年じっくり検討してみることが大切です。また、法人化による節税効果は、税制が変わると変化します。節税以外のメリットも判断材料にしたいものです。

医療法人化の検討②
資金管理の方法は、法人と個人のバランスを十分考慮した「理事長給与」を設定することが大切です。給与の決め方のポイントとして、基本的に法人化後の診療収入は法人化前と変わりないという前提で
①生活費(手取り)、②住宅ローンや自動車ローンなど借り入れ返済額、③診療所の建設費など開業時借り入れの返済額、④厚生年金や健康保険の個人負担分、⑤不動産の固定資産税、⑥所得税、⑦住民税、⑧個人契約の生命保険・損害保険、などについて、それぞれ具体的な金額を積み重ねて、トータル金額をシミュレーションします。毎月の診療収入の変化に応じて先月は150万円、今月は200万円、翌月は180万円というように、税法上はその都度、理事長給与を変えるというわけにはいきません。いずれにしても、個人診療所で十分な体力、資金力を蓄えてから、法人化への道を歩むことを強くお勧めします。

患者分析と増患対策
もし来患数が減っているのであれば
①診療面で患者さんとトラブルが発生し悪評がたっている。
②近くに競合医療機関が出現し患者さんをとられている。
③天候不順が続いている。
④院長および職員の患者接遇態度が悪い。
⑤「治らない、少しも良くならない」-院長はヤブだという悪評がたっている。
⑥診療費が高い、つり銭を間違える等、金銭面での悪評がたっている。
⑦エアコンが効かない等建物の不備、医療機器の故障が患者さんの不信、不満、不安を買っている。
などが考えられますが、ひとつひとつを潰していきながら真の原因は何であるかをつきとめなければなりません。
月並みな方法ですが患者さんへのアンケート調査や競合の評判、施設内容、患者数については出入りの業者から情報をもらいましょう。それと同時に来院患者実態調査を行いましょう。曜日別かつ時間別の来院数、およびエリア別来院数の統計をとり、来院患者傾向を把握します。診療時間が短いのか、広告が行き届いてないのか、職員の接遇に問題があるのか、自院の実態や客観的データに基づいて検証してみましょう。そうした中で付近住民のニーズを洗い出し、広告が必要なのか、診療時間の変更、マナー研修など具体的な対策を考えていきます。
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医療機器の買取りとリース
買取りかリースかの問題については、機器によって使い分けることが大切です。エックス線装置のような耐用年数より長持ちさせられるものについては自己資金またはローンで買い取ってしまったほうがお得です。また、耐用年数以内で買い換える可能性の高いもの、たとえばレセプトコンピュータなどはリースのほうがよいでしょう。また、契約満了後の措置については、①終了、②再リース、③買取りのいずれかを選択しなければなりません。まず、再リースか買取りかについては、一定期間の支払額についてどちらが安くすむかということです。結局のところ、残りどのくらいの期間使うかで結論がでるわけですが、例えばエックス線装置は普通10年以上使われるケースが多く、価格も高く、取り付け工事代がかかりますので、新品を購入することは結構大変です。よって買取りが有利です。

クレーム対応
クレームがおきればこちらは真摯に受けとめ早急に改善しなければなりません。しかしクレームをつけることで何かの対価を得ようとする患者さんもなくはありません。まず患者さんに感情面での憤りや不快感を与えたことに対し素直にお詫びすることから始めます。できるだけ早く院長が直々に会ってクレームの内容についての話を伺うようにしましょう。エスカレートして手に負えなくなる前に院長が話をすれば、患者さんの感情的な部分はかなり癒されます。またクリニック側で好みの患者さんとそうでない患者さんを知らない間に色分けしていませんか?それがまた日常の態度にでていませんか?そしてさらに職員全体がその状況に陥っていませんか?知らず知らずの間に特定の患者さんを軽く扱ったりしていませんか?…クリニック側にも原因があることが多いのです。患者さんがどうこうよりも自分達がどうだったかを素直にみつめなおしてみましょう。

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